龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「どうして?」

圭吾さんが静かな声できく。


恥ずかしいからに決まってるじゃない

分かってよぉ


「こっちへおいで」


ああ、分かってくれない


わたしは渋々振り向いた。

圭吾さんは辛抱強くわたしを待っている。


やだなぁ もう


わたしは目を合わさないようにして、圭吾さんの前まで行った。


「起きるのにはまだ早いよ。ベッドに戻ろう」

「えーと……もう眠くないかなぁ」

「昨日の夜の続きでもする?」


ひえっ!


「寝る。寝る。眠いから。絶対眠いから」

「そう? じゃあ、おいで」


差し出された手に、わたしは素直に自分の手を委ねた。


騙された気がする


チラッと目を上げると、圭吾さんが微かに微笑んでいるように見えた。

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