龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「圭吾さんはずるい」

ベッドに連れ戻されて、わたしは言った。


「ずるいって?」


圭吾さんがわたしを腕の中に引き寄せ、わたしは圭吾さんの胸に頬をつけた。


「昨日、わたしの心の中、見たでしょう?」

「見えたよ。金色の光の真ん中に僕がいた。君は僕を愛してる。そして怖れてる」

「怖くなんかないわ」

「嘘つき。僕が君を物足りなく思うんじゃないかと怖れてる。だから触れられるのを嫌がる。どうしていいか分からないから。どうすれば僕が満足するのか分からないから」


その通りよ


「僕はずるい。でも、志鶴はもっとずるい。僕の気持ちを知っているのに、平気で連絡もせずに出かけてしまう」

圭吾さんの腕に力がこもった。

「僕を不安にさせて、散々心配させて、でも『ごめんなさい』の一言で僕を骨抜きにしてしまう。なんでもいいから側にいてくれと思わせるんだ」


わたし、そんなつもりじゃないんだけど


「だから僕はズルをする。何度でも」

圭吾さんはわたしの髪を撫でた。

「君を愛してるよ」

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