龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「何だって?」

常盤さんが面食ったように聞き返した。


「お父上の思惑だろうが、妹さんが可愛いなら、僕の人身御供にするよりましな縁談を捜してやれよ」


「羽竜の当主夫人なら、十分に魅力的な縁談じゃないか」


「相手が僕じゃなければね」


常盤さんは押し黙った。


ああ……そこは同感なんだ


「圭吾さんは優しいわよ」

何だか圭吾さんを庇いたい気持ちが沸いて、わたしは小声で言った。


「熱心なファンなんだね」

小ばかにするように常盤さんに言われ、わたしはムッとした。


あなたに圭吾さんの何が分かるのよ


「結婚式の招待状はもらえるのかな?」

常盤さんは圭吾さんに皮肉っぽくきいた。


「もちろん」

圭吾さんは涼しい顔で答える。

「ただし、少し待ってもらうことになるよ。婚約期間はあと三年あるんだ。日取りは三月頃がいいと思っているんだが」


「三年? ずいぶん先の――」

常盤さんは、ギョッとしたようにわたしを見返した。

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