龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
「おい、まさか婚約者って……羽竜、君、そっちの趣味か? 道理でどんな縁談にも『うん』と言わないはずだ。人選を間違っていたんだな」

常盤さんは明らかに驚愕を引きずっている。

「父にはよく言っておくよ。いや……そのお嬢さんに勝てそうな女の子はいないな……犯罪になる……参った」


何の話?


「分かったら、デートの邪魔をしないでくれ」

圭吾さんはニッと笑って、わたしの持っているぬいぐるみの耳を指でつまんだ。

「見ての通り、僕はご機嫌取りに忙しいんでね」


「あ……ああ、それじゃ近いうちにまた」


常盤さんの姿が遠ざかると、圭吾さんはその背中に向かって

「当分会いたくないね」

って、つぶやいた。


「ねえ、圭吾さん」

わたしは圭吾さんの腕に両腕を絡ませたまま言った。


「ん? 何?」


「いろんな人に時々、『そっち』とか『あっち』の趣味って言われるけど、何の事?」


「ああ、ロリコンって事だろ?」


ふうん、ロリコンね

――って? えっ?

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