龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】

いろいろな事が目まぐるしく過ぎていく。


悟くんが学校を休んだ。

三日ぶりに登校してきた時は、目が赤くて何だか疲れているみたいだった。

『風邪?』ってきいたら、『徹夜明けだよ』という答え。


圭吾さんもとても忙しそうで、毎日夜遅くまで電話ばかり。

わたしは黙って、圭吾さんが振り向いてくれるのを待つ。


ママが早くに亡くなって、わたしは親父と二人っきりの家庭で育った。

親父は仕事から帰って来て、わたしが待っているのを見ると、いつも後ろめたそうな顔をした。

そんな顔をさせたくなくて、いつの間にか待つのをやめた。


圭吾さんは、わたしが待っていると微笑む。

もう少しだからと、目が語る。

僕も早く終わらせたいよと、あきらめたように上を向く。


だから待つの

待っていてって圭吾さんが言うなら、ずっと待てる。


「明日だな。明日の夜に決めたよ。十時に集まってくれ」

圭吾さんは電話を切ってわたしを見た。

「明後日は出かけよう」

疲れたような声。

わたしは圭吾さんの側まで行って、腰に手を回して身を寄せた。

圭吾さんが、わたしの髪に顔を埋める。


「君と一緒にクリスマスツリーを探すんだ」

< 75 / 120 >

この作品をシェア

pagetop