龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
圭吾さんはわたしの髪を撫でた。

「実際行ってみたら、実験動物が何匹もいたよ。僕は……僕は、無性に腹が立った。おまけにデーターを消してる最中に、大輔が防犯シャッターに挟まれそうになって、怒り心頭さ」

「大輔くんに怒ったんじゃないでしょ?」

「もちろん。大輔は一族の者だし、守るのは僕の勤めだ。僕の怒りはあの研究所の全てに向けられた。気づいた時には――まあ、とんでもない状況になっていて」

圭吾さんはくくっと笑った。

「今考えたら笑えるな。その状況をごまかすために、巧が水道管を破裂させて、僕等はそのまま逃げて来たんだ」


「圭吾さんが怪我をするような状況じゃ、わたしは笑えない」

わたしはむっつりとして言った。


「たいした怪我じゃないって言ったろ?」

「うん。でも心配したの」

「ゴメン。心配するのは分かっていたよ」

「わたし泣かないで、ちゃんと待ってた」

「そうだね」


でもあの時、泣きたかった。

子供みたいに泣きわめきたかった。


「もう泣いてもいいよ」


なんて事言うのよ

圭吾さんのバカ

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