龍とわたしと裏庭で④【クリスマス編】
ずっと我慢してた気持ちのたがが緩んだ。

わたしは嗚咽をこらえながら、圭吾さんの胸で涙を流した。

圭吾さんはずっと静かな声で謝りながら、わたしの髪を撫でていた。


「志鶴」


「なぁに?」

わたしは鼻をグスグスさせながら答えた。


「僕が兄貴でいる方が幸せかい?」

「嫌よ。他の女の人に取られるもの」


圭吾さんが笑うのが分かった。


「さっき、大輔が羨ましかったんだろう?」


「ちょっとだけ。でも、わたしには圭吾さんがいるから」


「そうだね」


圭吾さんは手を伸ばしてサイドテーブルからティッシュを取ると、わたしの涙を拭いて鼻をかませた。


「僕と結婚しよう。お買い得だよ。僕と結婚すれば従兄弟が五人も付いて来る」


わたしは笑って、圭吾さんの胸に顔をつけた。


「圭吾さん、大好き」

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