愛のない世界なんてない
懐かしい所まで走っていく。
ユラユラと髪を揺らしながら。
多分、一番若いのは私よ。



「あ…し……ののめ……?」
いきなり苗字を言われたから呼んだ主のほうを振り向いた。
あ…懐かしい顔。
確か………誰だっけ。
名前が思い出せない。
「東雲だよな!?」
ガシッとその主の強い腕で肩を掴まれた。
「し、東雲だけど!?あんた誰よ!?」
ちょっと引き気味に言った。
その主、大袈裟すぎ。
「あーやっぱ東雲かぁ…!顔が変わってないもん!このクールな顔!髪切ったんだな!?YUKIに似てるー!前まで長かったのにい~どうしちゃったの!?」
私を人形みたいに扱う主。
なんか正直気持ち悪い。
確か…………………。
…あ!思い出したかもしれない。
頭に電球が昇ったみたいに閃いた。
「もしかして……あんたは宮迫君……?」
そう言ったら主は目を輝かせた。
七色みたいに。宝石みたいに。
「覚えててくれたの!?嬉しい!」
と言って満面の笑顔を私に向ける。
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