愛のない世界なんてない
圭の場所、雛の場所
「いくー」
私はやっぱり酔っていた。
本当に夜道は怖いと思うし。
いきなりそっち系の話だけどさ。
「夜はやっぱ女一人だと怖いぞ」
圭がいきなり言い出し酔っ払った私の腕を肩に背負う。
「あーぁ、酒うまかったよー?なんで圭も飲まなかったの?」
「あと俺二年待たないといけないしー」
と言って圭が顔を伏せた。
「じゃあ私が25歳かー」
圭のホッペをぷにぷにする。
「完全オバサンだね」
「うるへー」
酔っ払ってるせいかまた言葉が変になった。
「向こうの家」
圭の指を差した所は超でけぇ豪華そうな家だった。
「ぉおー」
私はフッと口を左端に上げた。
「んじゃ、大丈夫?」
圭はそう言った。
「うん、大丈夫」
一気に酔いは覚めてちょっとドキドキした。
「いらっしゃい」
圭がドアを開けた。
私は一歩足を運んだ。
すると寒かったのがちょっぴり足からじんわり暖かくなった。
「お、邪魔します」
緊張してて声もあまりでなかった。
「お母さーん。ちょっと知り合いが来たー」
と圭がお母さんを呼んだ。
「あらあら、どうしたの?いきなり」
美人なお母様であった。
「ど、どうも」
と私は言った。
「あがってちょいだい」
私は言われたから遠慮せずにすぐ上がった。
< 21 / 191 >

この作品をシェア

pagetop