潮騒
なんて言ったところで、レンが悪びれるはずもないのは、いつものことだ。


彼はまるでそれが当然のようにあたしの隣へと腰を降ろし、



「なぁ、それよりルカの友達っしょ?」


早速、目の前の美雪に笑顔を傾けた。



「俺、レンでーす!」


「………」


「名前教えてよ!
つか、マジで可愛いね!」


本気なのか、それとも客にしたいと思っているのか。


仕事以外で滅多に他人に対して可愛いとか言わないレンなのに。


てか、あたしに向かってブスだ、ブスだ、と言うくせに、随分な態度の違いだと、さすがに腹も立ってくる。



「ちょっと、アンタ恥ずかしいから黙りなさいよ。」


確かに美雪は可愛いと思う。


正直、ファンタジーで働く女の子はレベルが高いと思うし、彼女だって新人とはいえ、見劣りなんかしていない。


けど、でも、いくら客からも言われ慣れているとはいえ、さすがの美雪も困惑気味だ。



「この男のことは気にしないでね。」


だから堪らず助け船を出してやったのに、それでも横からレンは、



「そんな警戒しなくても、俺ジェントルマンだよ?」


「…いや、あの…」


「じゃあ、まずは友達になろうよ!」


そう言って、彼は美雪にまた笑顔を向ける。


来るもの拒まずなレンだけど、自分から誰かと仲良くなろうとしているなんて本当に珍しいと、驚いた。

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