潮騒
「そんなもん、俺の関知するところじゃねぇよ。」


「まさか、殺されるんじゃ…」


けれどその問いに、答えはない。


何だかあたしの所為みたいで、寝覚めが悪くなりそうだけど。



「まぁ、北浜を恨んでるヤツなら大勢いるし、元々長生きなんか出来ねぇだろうけど。」


彼はそう言いながら、銃を仕舞う。



「助かったぜ、マクラ嬢。」


代わりに差し出された、茶封筒。


中身は見なくとも、現金だろうと推測できる。



「別にこんなもんいらないわよ。」


「けど、金が欲しいんだろ?」


嘲るような言葉に、あたしは唇を噛み締めた。


彼の手から離れた封筒は、はらりと宙を舞い、床に落ちる。


それから目を逸らすと、向けられた背中に、



「待ってよ!」


気付けばあたしは声を上げていた。


彼は足を止め、顔だけを向けてくる。



「どうしてあたしとヤる必要があったの?」


聞いた時、持ち上げられた、唇の端。



「興味があったんだ。」

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