潮騒
何故かマサキまで、一緒に行く、なんて言って、あたしの後ろをついてきた。


コンビニまでは徒歩数分。


彼の酔いを覚ますのにはちょうど良いのかもしれない。


深夜の、人気のない住宅街。



「この辺って、ホント夜になると静かだよなぁ。」


「あんまり車の往来もないからね。」


変質者は多いけど、なんてあたしは笑う。


ふたりでそんな他愛もないことを少し小声気味に話しながら、あたし達はコンビニに向かった。


煙草と、飲み物と、お菓子。


それだけを買い、再び来た道を帰ろうとした時、



「なぁ、こっち曲がったら何があんの?」


マサキはうちとは逆方向を指差した。


突拍子もないことを言うのは性格なのだろうか。


いつものことだとはいえ、それに少し呆れながらもあたしは、



「別に大したものなんかないよ。
しいて言うなら、美味しくないラーメン屋とかがある程度だけど。」


だから早く帰ろうよ、と言ったのに。


なのにマサキは、



「散歩がてら、ちょっと行ってみない?」


腕を引かれて驚いた。


が、こういった時には何を言っても無駄だということはわかっている。


あたしは肩をすくめながらも、ちょっとだけだよ、と頷いた。

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