潮騒
やっと引っ越し作業も一段落して、いよいよ来週にはこの部屋とさよならすることになった。
でもね、片付けをしてると、色々なものが出てきて、その度に手が止まってしまうの。
お兄ちゃんの写真。
レンが窓際に置いた風鈴。
美雪がくれたアロマキャンドル。
カオルちゃんが手作りしたてるてる坊主。
そして、
マサキと揃いのお守り。
ここで暮らしたことももうすぐ思い出に代わってしまうのだと思うと、それはそれで少し寂しいのかもしれない。
ひとつひとつを段ボールに詰めていく度に、笑みが零れる。
次第に広くなっていく部屋をぐるりと見渡していると、
「お前、さっきからほとんど進んでねぇじゃねぇか!」
コンビニ弁当の買い出しに出掛けていたレンは、帰ってくるなり眉を吊り上げた。
「そんなんじゃ片付くまでに10年は掛かるぞ!」
「じゃあちょっとは手伝ってよ。」
「バイト代くれんならな。」
憎らしい口調でそんな風に言った彼は、買ってきたものを床に置き、あたしが今しがた片付けていた段ボール箱を覗き込んだ。
「すげぇな、懐かしいもんがいっぱいあんじゃん。」
「でしょ?」
「こうして見るとさ、俺らずっと一緒に生きてきたんだもんな。」
でもね、片付けをしてると、色々なものが出てきて、その度に手が止まってしまうの。
お兄ちゃんの写真。
レンが窓際に置いた風鈴。
美雪がくれたアロマキャンドル。
カオルちゃんが手作りしたてるてる坊主。
そして、
マサキと揃いのお守り。
ここで暮らしたことももうすぐ思い出に代わってしまうのだと思うと、それはそれで少し寂しいのかもしれない。
ひとつひとつを段ボールに詰めていく度に、笑みが零れる。
次第に広くなっていく部屋をぐるりと見渡していると、
「お前、さっきからほとんど進んでねぇじゃねぇか!」
コンビニ弁当の買い出しに出掛けていたレンは、帰ってくるなり眉を吊り上げた。
「そんなんじゃ片付くまでに10年は掛かるぞ!」
「じゃあちょっとは手伝ってよ。」
「バイト代くれんならな。」
憎らしい口調でそんな風に言った彼は、買ってきたものを床に置き、あたしが今しがた片付けていた段ボール箱を覗き込んだ。
「すげぇな、懐かしいもんがいっぱいあんじゃん。」
「でしょ?」
「こうして見るとさ、俺らずっと一緒に生きてきたんだもんな。」