恋愛依存症
紀子はパパが大好きだったのに、綾音はパパと家ですれ違うと、睨みつけ口も聞かなくなっていた。

パパはそんな反抗的な綾音をいつもひっぱたいていたが、紀子にはそんなパパが淋しそうに映っていた。



パパはたまに紀子を連れて散歩をしてくれた。


そんな時、たまにパパは紀子に謝った。

「ごめんな、いつも。

でも、パパはママのことほんとは大好きなんだ。

お前にはわかるよな。」


そして、たまにママの自慢もした。

「ママみたいないい女はお前だって見たことないだろう?」


そして、最後は思い出したように怒った。

「お前も不注意なんだよ、

ちゃんと緊張感をもってないからパパが怒るんだぞ」


最後の最後はいつも興奮して大声になる。

「だいたい、パパが黒と言ったら、世間が白でも黒なんだよ!!」



どうして「だいたい…」に繋がるのか、

会話の流れはいつもよくわからなかったが、

どんなに理不尽でも、パパが絶対なのは

小学生の紀子でもよくわかった。



そして、

そんなすぐに頭に血が上る

エネルギーの固まりのような、

熱く、荒々しいパパに、

男としての魅力を感じていた。
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