恋愛依存症
「はじめまして。ジンです」

彼だけがなぜか名刺を渡さなかった。


会った瞬間、

声を聞いた瞬間、

懐かしさを感じた。

《なんだろう…?》



どうせもう今日限りで会わないと思うと

お酒の力も借りて、信じられない位に大胆になれた。

「私、ジンくんがいい。隣に来て~!」

そんな酔っ払いの紀子を見て

「うるせいなぁ、お前、ガキみたいな奴だな」

と言って、面倒臭そうに隣に座った。


その態度が紀子には照れ隠しにみえて、おかしかった。




心臓がバクバクした。

《なんだろう…??》




紀子は

30歳にして、

初めて

自分から男を好きになった。
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