恋愛依存症
[sara]は、カウンターが10席の小さなバーで

70代のマスターが蝶ネクタイ姿で一人でやっているとても静かな店だ。



紀子が一番若い客だったが、マスターは他の客と同じようにいつも接してくれた。


マスターと交わす、ひと言ふた言だが気遣いを感じさせる言葉が

いつも心に染みた。





紀子にとって

心のオアシスだった…。







亨には多少の罪悪感はあったが

亨の部屋が[sara]から近い事もあって

一人で飲んだ帰りは亨の家に泊まる事が増えていった。



亨は知ってか知らずか



「余り飲みすぎないで早く帰っておいで。

帰れない時はいつでも泊まっていいからね」



と、いつも優しく迎えてくれた。
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