心の中で。
みんなで海へ行った、あの日の夜。

あたしは、賢から受け取った紙きれと、にらめっこしていた。



「ん~~…どうしよう。。。」



連絡、しない方が…いいよね?


今は…恋愛とか、そういう気分には、とてもなれない。



「うん!捨てよう。」


そう思い立ち、ゴミ箱に手を伸ばす。




そのとき、自分と、賢の姿が重なった。




あたしの想いは、心の中でしまわれている想い。

人を想うのは、つらい。

だけど、この人は伝えてくれた。

その想いを、捨てるの?



せめて、ちゃんと話して断るくらい……



誠意を見せてくれたんだから、それはちゃんと返さなきゃ。




そう思って、電話をかけた。





だけど、名前も知らないのに、必死になってくれた賢になんだか気持ちが安らいで、そのまま連絡をとり続けてしまった。





佐野先輩への想いも捨てられないまま、あたしは、賢に逃げたんだ。



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