心の中で。
「…ねぇ。」


とんっと後ろから俺の肩をたたき、なんだかにやにやし始める奈津。




「ぁんだよ。」


「この原因は…もしかして美玲ちゃんかなぁ~っと思ってね。」


そう言いながら、近くの椅子に腰掛けた。




…そうだよ。


試合前、客席で男と高崎が喋ってるのを、見たんだ。


あんな風に、安心しきってる、あの男に頼ってる、そんな顔の高崎は…初めて見た。


俺は、夏休み前から…ろくに話せてもいねぇ。




くそっ!




プチッ


思い出してまた心臓が苦しくなって…テレビを消した。




「…やっぱりね。」
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