手紙でXXXして。
オススメの商品のPOPを描いてみたりして、自分のできることを一歩ずつ。

あの人に負けないように。

「ふゆかちゃん、今日はあがっていいよ」

アルバイトの先輩があたしに声をかけた。

仕事が終わるまであと1時間ある。

「え、でも」

「今日、ふゆかちゃん誕生日でしょ?いっつも頑張ってるから店長が早くあがっていいって」


店からでると、ひんやりとした風があたしのほほをなでていく。

誕生日でも何にも予定ないあたしは、まっすぐ帰路へ着く。


店長の気遣いもありがたいけど、別にいつも通りだしねえ。

ただでさえ大晦日はだれもかれも忙しくて、ひとりぼっちで歩くあたしには目もくれない。



いつもどおりにアパートの階段あがると、あたしの部屋のドアの前にフードをかぶった背の高い男の人がたたずんでいた。


誰?


あたしはしらんふりして部屋のドアを開けようとした。

すると、ドアノブを握ろうとした手を強くつかまれた。



「おい!無視すんなよお前!」

< 203 / 214 >

この作品をシェア

pagetop