夢幻の都

ソニアは立ち上がり、壁に立てかけた革袋を手にした。

中には、ソニアの七弦琴が入っている。

半球型の胴を持つその楽器を手にするといつも、ソニアの表情は威厳に満ちたものとなる。

かつてこの大陸は七人の<歌姫>が歌の魔法で全てを支えていたという。

時は去り、大陸は侵略され、<歌姫>は処刑され、今やソニアが最後の<歌姫>だった。


その誇りが彼女の背筋を伸ばし

その重圧が彼女に荘厳さを与える。


ランダーにできることは、ただ、ソニアが無心で歌えるように剣を振るうことのみ。


「行きましょう、ランダー」


ソニアは落ち着いた静かな声で言った。

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