ONESTAR
「とにかく、俺の彼女が来てると思って挨拶するとかって二人張り切ってるから、今のうちにこっそり逃げて。荷物は俺があとで……」

「……うん。わかった。……準備する。」

「あっ!そっか、服だ、服!俺、洗面所行って取って来る!」

「……いいよ、大丈夫。」

ねーちゃんは、ぼんやりベッドから起き上がり洗面所に向かう。

大丈夫かあ?

いや、えっと、俺の使命はねーちゃんのカバンを確保して、

ねーちゃんが逃げるまでの時間を稼ぐってことで。

急いでリビングに戻った。

リビングでは、ボストンバックの中身をひっくり返して、

お葬式場の場所をメモった紙がないとか、

喪服を出してくれとか、

香典袋はどこだとかオロオロしてる親父がいて、
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