愛花
祖母は校則の厳しいことで有名なカトリック教会の学校に私を入学させた。

先生はシスターと呼ばれ、修道女だった。

私は新しい環境の中、なかなか馴染めなくて寂しかった。

祖父は毎朝私を学校まで送ってくれ、帰りは学校まで迎えに来てくれた。

祖父と手をつないで歩いていると、とても幸せだった…

そんなとき、同級生の一人が私に言った。

゛あなた、ママ死んじゃったんでしょ。パパもいないんですって。″

何も言えなかった。

私には物心ついたときから祖父と祖母しかいなかったから…

黙っていると

゛心中したんだって?″

しんじゅうって何?

小学校に入学して数日しかたっていないのに母の事が噂になっていたのだ。

何も言えずにうつむくだけの私に同級生たちは離れていった。

その日の帰り、祖父にそっと聞いてみた。

゛おじいちゃま…
 しんじゅうって何?″

祖父は驚いて、

゛何故そんなことを… 聞くのかな?″

゛クラスの子が言ってた。私のママとパパが死んだのはそのせいだって…″

祖父は悲しそうに言った。
゛あーやのパパとママは一緒に天国に行ってしまったんだ。あーやをおじいちゃまとおばあちゃまに遺して…ね″

よくわからなかったけどその時はなんとなくわかった気がした。

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