愛花
私の絵は少しずつ変わってきていた。

色彩に気を使うようになった。

華やかな色を使うわけではないが明るい雰囲気が出るようになった。

私自身、雅美と話すようになって明るくなっていった。

初めて友達が出来たのだから…

゛ねえ竹田さん、最近真中さんと仲いいのね…″

雅美に話し掛けてきたのは小学校の時からの同級生達だった。

私がいないときに雅美に私の生い立ちを教えに来たのだ。

゛仲いいよ。いい子だもん。話してて楽しいよ。素直だから。それがどうしたの?″

゛でも真中さんの両親って不倫して心中して死んじゃったんだよ。あの子一人残されたんだって…″

雅美は驚いていたが

゛そうなんだ…でもそれがどうしたの?うちの親だって離婚してパパに引き取られたけど仕事、仕事で一人ぼっちみたいなものよ。あんまり変わらないよ。″

雅美はそう言って私を捜し出して聞いた話をしてくれた。

私は雅美が離れていかないのがうれしかった。

雅美は私に祖父母がいるのが羨ましいと言った。

家に帰ってもお手伝いさんがいるだけで寂しいと言った。

私は初めて雅美の寂しさに触れて少し悲しかった。

私は今まで寂しいと思ったことはなかった。

祖父がいたからであり、祖母がいたからだと思う。

そして絵があったからだと思った。

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