愛花

妖子(思春期)

私は中学生になった。

小学校の系列でそのまま中学に上がった。

外部からの新入生も何人かいた。

その中に竹田雅美(タケダミヤビ)がいた。

雅美は華やかで軽やかにふるまう。

まわりには友達も多かった。

私は相変わらず友達も無く一人で絵を描いていた。

小学校の頃はシスターテレサに教えてもらっていたが中学では美術部に入って描くことにした。

雅美も美術部に入ってきた。

雅美はもともと描くよりも観るほうが好きでいろんな画家のことを知っていた。

最初はあまり話もせず、華やかな雅美を遠くから見ていた。

ある日絵に集中していた私に雅美は声をかけてきた。

゛素敵な色使いね。″

゛えっ!私のこと?″

゛そうよ。確か…同じ組よね。えーっと…″

゛真中です。真中妖子。″

゛そうそう、アヤコさん。おとなしい子よね。私、竹田雅美、ミヤビでいいからね。よろしく!″

゛ミヤビさん…?″

゛気持ち悪いわ!ミヤビでいいのよ。私もアヤって呼んでいい?″

わたしは頷いた。

雅美は私にいろんな人の画集を見せてくれた。

ゴッホやルノアール、ダ・ビンチ、ピカソやモネ…

シャガールの画集を見たときは色彩があふれんばかりに個性を放ちしばらくは立ち上がれないくらいに感動していた。

ゴッホのカフェテラスや糸杉、ひまわりなども色彩に感動してしまった。

私が描いている絵が小さいものに思えた。

雅美はルノアールが好きだった。

あの風は彼にしか表現出来ない、と言った。

私は画家について何も知らなかった。

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