愛花
゛新しい仕事の依頼があって、取材するのにしばらく旅行しようと思うの。
お別れしましょ″


涼史くんに言った。

゛帰って来たらまた会えるよね。
別れたくないよ。″

涼史くんは言ってくれた。

゛いつ帰って来るかわからないのに?
私だって旅先で素敵な人に出会うかもしれないし、涼史くんだって好い人に出会うかもしれないじゃない。
その時は遠慮なくいきたいからよ。
まだまだ若いからいろんな人と付き合うのもいいんじゃないかなぁ″

心とは裏腹に突き放そうとした。

涼史くんは寂しそうに言った。

゛その仕事、やめてよ。
僕が働くから結婚しよう。″

うれしかった。

でも甘えるわけにいかない。

私のためにも彼のためにも……


゛私の夢なの。
絵本を描きたいの。わがままかなぁ。
しばらくは専念したいから他のことは考えたくないし…
仕事終わった後のことは今は考えられないし…″

沈黙がながれた。
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