それでも、まだ。
動揺と思惑



『…ふぇっくしょん!』


『レン、大丈夫か?』



『…おい。てめぇ今わざと俺に向かってくしゃみしただろ。』


『え?アヴィルさん何言ってるんですか?言い掛かりはやめて下さいよ〜。………移ればいいのに。』


『聞こえてるわコラぁぁぁ!』



『はは……。』




――地下を出て1時間。


それぞれの幹部が忙しく事後処理をして、一息ついた所で今朝会議が行われていた部屋に神田達は集まった。




『大丈夫かな、ベルガさんとセシア…。』



セシアとベルガは今組織の医療室で治療中である。



神田が不安そうにポツリと言うと、ポンっと頭の上に掌が乗った。



『さっき私が様子を見て来たけど2人共命に別状はないよ。だから安心しな。』



『マダム……。…そうですよね!わ、私、下から皆さんのお茶を持ってきますね!』



神田がパタパタと部屋を出て行ったのを見届けると、その場に居た全員がため息をついた。



『……やっぱり、真理にも話した方がええんちゃうか?』



『…うん。真理ちゃんになら、話しても大丈夫じゃないかな。ねぇ、アヴィルさん。』



そして幹部達が視線をアヴィルに移すと、アヴィルは煙草をずっと吸っていたがしばらくして口を開いた。



『…黒組織については話そうと思う。だが、あの事件については話さねぇ。……いいな?』



『………………。』




誰も反論するものはいなかった。




ーーーそして、このとき神田が扉の向こうでお茶を取りに行ったのではなく、話を盗み聞いていたことを知る者も、いなかった。



外では、未だに雨が降り続けていた。







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