SADP
『カナさん‥』
キッチンにジロウくんが来た。
「‥‥、ごめんね」
私は動かしていた手を止めて
ジロウくんの方を見た。
「私ね、ソウが好き」
『‥うん』
「ソウが大事」
『‥うん』
「だから、
これ以上迷惑かけたくない」
『っ‥でも』
「ジロウくん、ありがとう。
本当のことを私に言ってくれて
ありがとう。」
『そんな‥』
「だから、そんな悲しい顔しないで?」
私がそう言うと
ジロウくんは
悲しそうな顔のまま
無理やり笑顔を作った。