時を止めるキスを
「んー、最近かな」
「私、その……分かり易かったですか?」
確かに同期でも仲の良い円佳には、タカシと別れたことはけじめとして報告してある。
口外しないようにお願いしたのもあり、今のところは私がタカシと別れた件は周囲には漏れていない。
だからって、彼氏のいるフリを続けていい訳ないのに、私はこの状況に甘えきっている。
――このリングを填めたままいる理由に気づきながら、今も外したくないと……。
そう思うと薬指が一瞬で汚らわしいものに思えて、もう片方の手で咄嗟に隠してしまう。
そんな姿に呆れたのか、溜め息を吐いた柚さん。いや、軽蔑されたのかもしれない……。
「すみません」
「何で私に謝るの?」
サラリと返された私は、目の奥にツンとした痛みを覚えた。それでも泣きそうな自分を叱咤しながら、黙って彼女を見つめていた。