時を止めるキスを
「まあ、この前アイツを見てる藍凪ちゃんの表情でピンときちゃったのよ」
「え?」
「実はね、ちょっとだけ、昔の私と重なったんだよね。
あ、でも安心して。このことは誰にも言わないから。
そもそも言うくらいだったら、こんな過疎化したスペースに連れて来ないって」
けらけら笑ってくれたのは、きっと私が絶望した顔をしていたからだろう。
「見たのもホントに一瞬のことだったんだけど、やっぱり目撃しちゃうと、ね……。
――そもそも!アイツが口割らないから、藍凪ちゃんの方を落としたってワケ」
“ごめんね”と付け加えた柚さんに、私はただ何度も首を左右に振っていた。
「……いつから?」
「1ヶ月……ですけど、違うんです」
「違うって?」
やはり竹を割ったように明朗な性格した彼女も、曖昧な答えを嫌うらしい。
どうにか弱気な自分を振り切って笑うと、隠していたあのリングを敢えて彼女の方に近づけて見せた。
「コレがその理由です」