キミのことを ずっと
どこへ行くのだろう。


そう思っていると、人通りの少ない裏路地に。


「ここなら、いいでしょ?」


そして、本田さんは繋いでいる手を離し、私をまっすぐ見つめ


「ねぇ、玲子さん。俺に言いたい事があるなら、ちゃんと言って」


そう言う本田さんの目は真剣だった。


本田さんは真剣に聞いている。


なら、素直を気持ちを話す?


でも……


“からかわれていた”だけなら、どうしよう。


やっぱりその事で躊躇して、素直になれない私がいる。


「言いたい事なんてないです」


だから、やっぱりこんな事を言ってしまう。


「玲子さん、さっき『言う』って言ってたでしょ?」


本田さんは手を伸ばし、そっと私の頬に触れる。


そして、


「玲子さん、俺の事、好きでしょ?」


本田さんは優しく微笑み、そんな事を言う。



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