人心は、木漏れ日に似る
高校生にもなって迷子、と海里は一瞬思ったが、自分も川に流されたことを思うと笑えない。


「探すけど、勝手に探しちゃまずいだろ。

まずは先生に報告……」

ぱ、とほのみの目が海里を捉えた。
海里が身を引くより早く、ほのみは笑む。


「そっか!
じゃ、詰め所に行こう。

……えと……」

きょろきょろとほのみは、所在なさげに首を左右に振る。

「……詰め所は向こう」

「ああ、そーか!
じゃ行こう、海里君」

ほのみの細めた目に飲み込まれるようにして、海里はほのみの背を追った。



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