人心は、木漏れ日に似る
ロビーから歓声と、壁を打つ振動が届いた。

ロビーへから廊下へと浮遊するスリッパが、海里の視界をかすめる。

まくら投げならぬスリッパ投げ。
どんな良識を持った生徒がいるんだ、と海里が気を散らしていると。


「ね、行こう海里君!」


ほのみは無謀にも、スリッパの飛び交うロビーに突っ込もうとする。


海里はなんとかほのみを呼び止め、とりあえず尋ねた。

「帰ってないって、生徒が?
だって班行動だろ」

ほのみはちらちらと、落ち着かない様子でロビーの奥の下駄箱を見やる。

「うん、それがね、1人だけ迷子になっちゃったんだって。

とにかく探さなきゃ、もう暗くなるし……」

ほのみの目は、8割方下駄箱を見ている。



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