ただ今、政略結婚中!
ベッドの上に真っ赤なドレスが投げられたように置いてあったのだ。


「え……」


バスルームから聞こえる水の音と女性の声。


バスルームを使う泥棒なんていないよね?


その時、ハッとなり、小さな悲鳴が出そうな口を両手で押さえる。


まさかHの最中……?


中へ入ろうか迷った。


もしその最中だったら決定的な浮気の証拠だよね。


裁判になっても有利になる……。


でもその場面を想像したら、胸に痛みが走った。


息を大きく吸って、取っ手を掴むとドアを開けた。


バスタブの中に黒髪の女性がいた。


ひとりだった。


隼人さんがいないことにホッと安堵する。


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