ただ今、政略結婚中!
目の前のグラスに入った金色の気泡がたつシャンパンは乾杯で少し口をつけた以降、まだ減っていない。


お酒は好きだけど、今は飲みたくない。


酔っ払いでもして変なことを口走らないようにしなくちゃと、飲んでいない。隼人さんへの鬱憤が出てしまうかもしれない。


口から無意識にため息が出て、慌てて首を横に振った。


「そんなに緊張した顔でいると、政略結婚ってことがばれるぞ?」


少し声のトーンを落とした彼の声は私以外には聞こえないはず。


「……わかりました」


私は大きく息を吸い込み、無理やり彼に微笑んだ。


「その調子だ」


彼はシャンパンのグラスを私に向けてかかげる。


私も同じ調子でシャンパングラスをそっとかかげると彼を見ながら口に運んだ。




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