ただ今、政略結婚中!
メイクルームを出る時になって、これからの予定を何も聞かされていないことに気づいた。


はぁ~。


重いため息が漏れる。


この部屋を出るのが、気が重い。


これから先のことは何一つ決まっていない。


新婚旅行に行くかさえ決まっていない。


一応、住む家は紫藤家の敷地に建てられた別宅と決まっているけれど。


私はこれからその家にふたりで住むとばかり思っていた。


それが、勝手な思い込みだったことを知るのはすぐだった。



******



紫藤家の運転手つきの高級外車に乗り込む。


後部座席に乗っているのは私と隼人さん。


隼人さんも衣装からひと目で高級だと分かる黒っぽいスーツに着替えていた。


それが仕事の出来る男の雰囲気を醸し出している。


モーニングコート姿よりも私の胸を高鳴らせる姿だった。


私ってもしかしたら、スーツフェチだった?


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