ただ今、政略結婚中!
「だって、エステルは?」


「気にしなくていい」


それだけ言うと、寝室へと消えた。


「気にしなくていい……ってどういうこと……?」


寝室のドアを見つめたまま、思わず呟いてしまう。


本当に期待しちゃいそうな自分が怖い。


期待したものではなかったら……ううん、今は考えるのはよそう。隼人さんと過ごせる時間を楽しみたい。


******


このホテルに日本料理のレストランがあった。


最高に美味しいわけじゃないけれど、現地のビールを飲みながらお刺身やてんぷらを食べる。


隼人さんの機嫌は良くて、いつになく会話が弾んだ。


だいたいは隼人さんが私をからかうことばかり言うのだけれど。


ハネムーンみたい……。


思わず浮かんだハネムーンに心が跳ねる。


幸せに感じるこの時間を誰にも邪魔されたくないと思った。


またエステルが現れそうで怖かったから。











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