ただ今、政略結婚中!
「あ……ありがとう……」


風にはためくシフォンのショールを受け取る指先が震えてしまう。


「どういたしまして」


顔は笑っているけれど、瞳は笑っていない。


隼人さんの方からは死角になっていて、ジョンの表情はわからないだろう。


ショールを手にした所で、隼人さんにそれを奪われる。


そして、ショールを私の肩にかけてくれる。


「ありがとう」


ショールをかけてくれた時に、指が肩に触れた。


その箇所が熱を帯びたように熱く感じられる。


こんな状況なのに、隼人さんに触れられるたびに、身体が疼いてしまう。


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