ただ今、政略結婚中!
端正な顔に優しい笑みが浮かび、私も笑みを返した。


隼人さんは隣の男性に話しかけられて、私から視線を外した。


******


パーティーがお開きになったのはそれから1時間以上経ってから。


針のむしろの上にいるような時間だった。


気のせいもあるかもしれないけれど、ジョンの視線をずっと感じていた。


隼人さんは銀髪の男性、ミスター・キャボットと固く握手を交わしている。


その姿を私は誇らしく感じる。


彼の仕事に対する熱意はすごい。


私達はホストに見送られ、パーティー会場を後にした。


「亜希、少し散歩をしよう。酔いを醒ましたい」


「酔っているみたいに見えないけど……?」


「いや、たくさん飲まされたよ」


そう言っても足元にふらつきは見えない。


しいて言えば、顔が少し赤くみえるくらい。


酔ったと言うのは、散歩の口実なのかもしれない。



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