ただ今、政略結婚中!
私達の足は自然と海辺に向かっていた。


手を繋ぎながら砂浜に出られる場所へやってくると、ヒールと革靴を脱いだ。


満月の月明かりと、ホテルの明かりが白い砂に反射して、困らないほどに明るい。


ロマンティックな雰囲気で、話をしなくても幸せを感じる瞬間だった。


「亜希」


隼人さんの指先が私の顎にかかり、優しく上を向かされる。


「んっ……」


上唇を啄むように口づけられ、下唇も啄まれ、舌が歯列を割り口腔へ入ってくる。


私は隼人さんの背中に腕を伸ばし、抱きしめた。


舌が絡め取られ、口の中をたっぷり味わい尽くされていく。


お互いの唇が離れると、私は乱れる呼吸を整えようと大きく息を吸う。


そんな私の頭に隼人さんは手を置いて、髪をくしゃっと弄る。


「だいぶうまくなったな」


「えっ?うまくなったってキ――」


再び唇が重なり、甘いキスは身体に痺れるような感覚をもたらした。


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