ただ今、政略結婚中!

零れ落ちていく幸せ

「――希!?亜希!?」


隼人さんが呼んでいるのが聞こえてハッとなる。


振り返った瞬間、砂に足をとられて海の中へ尻餅をついてしまった。


「きゃっ!」


「亜希!」


スーツのズボンを濡らしながら私の方へやってくるのが見えた。


せっかくのドレスがびしょ濡れで、尻餅をついて水しぶきが上がり、髪の毛までも濡れてしまった。


「亜希!」


隼人さんが私の腕を掴み、すぐに立たせてくれた。


「大丈夫か?何を考えている?もう少しで深くなる所だった」


「えっ?わからなかった。ごめんなさい……隼人さんも濡れちゃった」


塩水に浸かり、スーツが台無しになってしまった。


< 378 / 566 >

この作品をシェア

pagetop