ただ今、政略結婚中!
仕事が忙しくても結婚式の数日前にはアメリカから帰国してくれると思っていたけれど、隼人さんが戻ってきたのは結婚式前日の夜遅い時間だった。
まだ会話らしい会話はしていない。
あの電話の後、数回の結婚式の要件で話しただけ。
電話をかける時は常に緊張していた。
日本とニューヨークの時差もあったけれど、かなり忙しいと聞いているせいで仕事中にかけるのも躊躇われた。
かければかけたで、自分の結婚式なのに、事務的に答える隼人さんに私は戸惑っていた。
無関心すぎるっ!
明日の結婚式を控えて、私は携帯電話を片手に自分の部屋をうろうろと歩き回っていた。
結婚を止めるんなら今電話するべきだよね……。
心の中の葛藤がずっと続いている。
結婚式当日が初対面だなんておかしすぎる。
携帯を開いて隼人さんの番号を探す――携帯の文字の上を彷徨っていた手が不意に止まる。