ただ今、政略結婚中！

自分には笑顔を向けないのに、板前さんとは楽しそうに笑っている隼人さんにだんだんと腹が立ってきた。


「隼人さんっ！」


隼人さんの肩を叩いて、呼んでいた。


私の方を向いた隼人さんの顔が揺れて見える。


「酔っぱらったのか？」


冷静な声が聞こえる。


「酔っていませんっ！ど～して、迎えに来てくれなかったんですかっ。私、すっごく心細かったんですからっ」


「悪かったと言っただろう？」


「英語が苦手なんですからっ！それに、ブラジャーが……」


「ブラジャー？」


「……なんでもないです」


つい寝室に落ちていたブラジャーのことを言ってしまいそうになった。


酔っぱらった頭でも理性が働く。


こんなところで話せることじゃないのに……。