ただ今、政略結婚中!
その時、目の片隅に男の人が近づいてきたのが映った。


そしてその人は私達の横で立ち止まった。


「隼人さん!あなたも来ていたんですね」


なんとなく聞き覚えのある声がした。


隼人さんがめんどくさそうに顔を上げて、その声の持ち主を見る。


「あぁ。ジョン」


アパートメントを案内してくれたジョンだった。


「こんばんは。亜希さん」


にこっと私に笑いかけるジョン。


「亜希さん?」


隼人さんの怪訝そうな声が聞こえてきた。


どうして彼を知っているのか説明する考えもなく、お礼を言う為に立ち上がると、足元がぐらっとふらついた。


すかさず2本の手に支えられる。


ひとつは隼人さんと……もうひとつはジョン。


「大丈夫ですか?」


ジョンが心配そうに私の顔を覗き込んだ瞬間、身体が突然、隼人さんの方に傾いた。


「きゃっ!」


隼人さんが私を自分の方へ引き寄せたせいだ。


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