記憶の桜 -栄枯幻世-
彼の一声に返事をすると、障子が開けられた。
土方さんは私の目の前におじやが乗った盆を起き、茶碗におじやをよそい、差し出して来た。
美味しそうなおじやの香りが鼻腔をくすぐる。
でも、今日は食べたくない。
いつもは少しは食べられるのに、今日に限って食べる気がしない。
「どうした、食わねぇのか?少しでも食わねぇと、死んじまうぞ」
「生きる目的のない私に、生も死も関係ありません」
土方さんは私の言葉に呆気を取られていた。