記憶の桜 -栄枯幻世-
「しょうがねぇな…」
俺は涼に近付くと、膝をついた。
「今すぐ泣き止まねぇと、新選組から追い出すぞ」
「なっ!?土方さん、そんな事言ったら…」
平助は涼が泣き叫ぶと思い、耳を塞ぐが…。
「嫌…、追い出さないで…」
涼はようやく泣き止むと、俺の着物を握って来た。
「冗談だ、追い出さねぇから安心しろ」
「良かっ…た…」
すると、涼は俺の着物を握ったまま、ぐっすりと眠ってしまった。
広間にどっと溜息が漏れる。