記憶の桜 -栄枯幻世-


「しょうがねぇな…」




俺は涼に近付くと、膝をついた。




「今すぐ泣き止まねぇと、新選組から追い出すぞ」




「なっ!?土方さん、そんな事言ったら…」




平助は涼が泣き叫ぶと思い、耳を塞ぐが…。




「嫌…、追い出さないで…」





涼はようやく泣き止むと、俺の着物を握って来た。




「冗談だ、追い出さねぇから安心しろ」




「良かっ…た…」




すると、涼は俺の着物を握ったまま、ぐっすりと眠ってしまった。




広間にどっと溜息が漏れる。













< 317 / 412 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop