記憶の桜 -栄枯幻世-
土方さんはがしがしと頭を掻きながら溜息を吐くと、視線を私に移した。
「お前は今日から壬生浪士組預かりとする」
「………」
「それを肯定と受け取るぞ。それと、お前は長州の間者じゃねぇよな?」
「何で、私が奴らの為に?」
私は半眼で土方さんを睨みつけると、彼は口元を持ち上げ、小さく笑った。
どうやら、彼は最初から私を間者として疑っていなかったらしい。
何か、他人に見透かされたみたいで腹が立った。
「良かったね、涼ちゃん」
早速、沖田さんはちゃん付けで名前を呼んできた。