記憶の桜 -栄枯幻世-
訳が分からないまま、私は彼の後を追いかける。
案内されたのは広間だった。
中には隊士が大勢いて、私が広間に足を踏み入れると、視線がこちらに集まる。
「おお、葛葉君。こっちに来なさい」
私は近藤さんに呼ばれ、上座の方に立った。
「本日から俺の小姓になった葛葉涼だ」
土方さんは簡単に私の紹介をすると、こちらを見た。
自分で自己紹介しろ、と言っているようだ。
「葛葉涼です。よろしいお願いします」