カナリア鳴く空
Prologue
誰かが言った。

――人は一生に1度、大きな罪を犯す

そんなこと言ったのは誰だったのか、忘れてしまったけど。

「あまり考えない方が、いいと思いますよ」

お前が言った。

「確かに、わたしたちは犯しました。

許されることができない、大きな罪を。

でもわたしは、それでもいいです。

――あなたと一緒にいられるなら」

悲しそうに笑いながら言うお前に、私は不謹慎ながらも幸せだと思ってしまった。

「誠司さんもそんなに若くないんですから、深く考えないでください」

心配するお前に、私は思う。

私は、大きな罪を犯した。

――お前を、娘を愛してしまったと言う罪を
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