カナリア鳴く空
こんなゼータクなことなんて、ないんじゃない?

好きな人の毒に犯されて死ぬなんて、こんな幸せな死に方が他にあるだろうか?

「――誠司さん…」

「――優衣…」

誠司さんに余裕がなくなって行くのがわかる。

そんな彼を、わたしは受け止めることが精いっぱいだ。

「――もっと…」

だんだんと遠くなって行く意識に反して、わたしは唇を動かす。

それでも誠司さんが欲しくて、求めた。

――もう、どうなってもいいから。
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