カナリア鳴く空
パイプオルガンの音が耳に痛い。

優衣との再会場所が、まさかの自分の結婚式。

しかも相手は、妻になる人の娘。

なんて残酷なシチュエーションなのだろう。

朝香が紅いじゅうたんのうえを歩いている。

ゆっくりと、ゆっくりと、だんだん私に近づいてくる。

――いっそのこと私から逃げて、結婚式を中断してしまおうか

そんな考えが一瞬私の頭をよぎったけど、やめた。

優衣がかわいそうだったからだ。

母親が結婚すると言うのに、私のせいで中断させたら優衣は悲しむだろう。

けど、娘として接するのもつらい。

結婚式が終わったら、優衣は私の娘になる。

こんなつらい出来事、今まであっただろうか?
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